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ネバーストップ進化「きのう何食べた?」


2019年話題になったドラマ「きのう何食べた?」。

お正月には特別番組もありましたね。

 

中年の二人の男性、弁護士と美容師のカップルの日常を、料理して食べる事に焦点をあてて描いたストーリー。
原作は、よしながふみ作のマンガです。

ドラマは、ストーリーもセリフも料理シーンも、どれもが原作に忠実なことでも、話題を呼びました。

 

主人公たちは、ゲイカップルというマイノリティのポジションで感じる切なさ、しんどさも抱えていますが、そこを越えて、一人の人間として、他者との関係を結びつつ、結びあぐねつつ生きてゆく姿が、ほどの好い優しさで描かれているところが、広く共感を呼んだのだと思います。

 

育った環境、バックグラウンドが違う二人が、暮らしを共にすることの喜びと困難だけではなく、老いてゆく親、職場の仲間や友人たちとの、丁寧に紡がれてゆく緩やかな関わりも取り上げられて、主人公の視野は、少しづつ広がります。

 

私は、「脇役」たちの人生もしっかり描かれているところが好きです。この物語では「脇役」ですが、彼らの人生では、彼らが主人公。そんな、人間を愛おしむ作者の眼差しが感じられます。

 

 

 

きのう何食べた?

 

昨年12月末に、最新刊である16巻が出ました。

お正月のドラマでは、誰かを想いながらきちんと料理する、その手の掛け方に、暮らしの原点のようなものを感じて心が和みました。
しかし一方では、三度三度の食事の度に、毎回そこまでやってられないよ、という現実もあるわけですが…ご安心ください。16巻では、心温まる「手抜き」も描かれております。

 

その「手抜き」のエピソードも含め、読みながら、幾度か目頭が熱くなりました。

16巻では、登場人物の多くは50歳過ぎですが、相変わらず、作って食べて、日常のささやかな出来事から気づきを新たにしています。
作って食べるという、シンプルで単調ともいえる営みから、自分にとって大切なものは何か、それを大切にし続けるために何ができるか、発見が続きます。
それを成長と呼ぶのか、進化と呼ぶのか…年齢を重ねても、少しづつ「昨日とは違う自分」になることができるんだなあ、景色の見え方も変わるんだなあ、としみじみと感じました。

「今あるもの」を大切にしたい、と改めて気づかせくれるマンガです。