先日、日比谷に行く機会がありました。日比谷公園に面したビルから眺めるいろいろな木々は、吹き上がる緑。ひとつの生きもののように見えました。
公園を歩きながら梢を見上げることの方が多い私にとっては、思いがけない景色でした。

数日後、JRの線路脇を歩いているときに、見慣れない草が生えているのを見つけました。10センチあるかないかの低い丈の草で、近寄ってじーっと見ると、なんだか森のように見えてきました。

空を覆うように見える樹々を眼下にみたり、足元の草が森のようにも見えたり。視点が変わると、知らなかった世界が広がるんだなあ、と実感しました。
視点が変わると違う景色が見える、という身近な経験は、草木だけのことではなく、もっと狭く、また、もっと広く(リビングの片付けや家族との関わり、生活習慣、さらに社会的な「問題」まで)「これと同じことなんだなあ」と気づきました。
「今見ているものは、一つの視点からの景色に過ぎない」と知っていれば、行き詰まったときも気が楽になりそうです。しなやかに体勢を変えて、視点をずらせばいいのですから。
そして、人との関係でも「相手はどんな視点から見ているのかな」とちょっと引いて見ることで、要らないイライラやモヤモヤが減りそうです。
そうはいっても視点を変えるのは難しい、と思われますか。
アタマでこねくり回さなくても、何か動いてみると、違う視点から見える景色に気付きやすいと思います。旅行に行くまでもなく、帰り道のルートを少し変えたり、友達に勧められても興味が持てなかった動画を試しに見てみたり。
普段は気にしていないものを、ジーっと手に取って眺めるのもいいかもしれません。
「アフターコロナ」で「変わろう」「変えよう」という掛け声に馴染めない…という方も少なくないと思います。
一斉に「変わる」ことに馴染めなくても、視点が変われば景色が変わること、いろんな視点があること(たぶん、視点は無限にあるのでしょう…)を意識していれば、しなやかに生き延びやすいのではないかな、と思います。